設計標準化は、なぜ繰り返されるのか
2020/4/3
◼︎今も昔も求められる設計標準化
設計標準化は以前からある設計改革の1つでありますが、今も設計標準化を始めようとする企業が多くあります。今でも設計標準化が求められる背景としては、過去に行った設計標準化が今日では機能しなくなった為に、再び標準化を始めるのではないでしょうか。
本コラムでは設計標準化の定義として、商品企画や顧客からのインプット後の設計手順
及び、そこで使われる設計基準を明確にし、標準とすることとします。
また、その成果物の一つとして設計手順書とします。
設計手順書が機能しなくなった理由として以下が挙げられます。
- ・設計手順書はあるが文章が多く単なる読み物としてなっている。
- ・新人設計者が教育のために読むものと限定されている。
- ・ナレッジはまとめられているが、技術や製品の進化に伴い
現在の最新の製品には当てはめられない。
また、設計標準化を進めようとしても、実行できていない理由として以下が挙げられます。
- ・PLM, PDM, CADなどのシステム導入にはリソースを充てられるが
設計標準化や設計プロセスはおざなり。 - ・設計標準化に取り組もうとするが設計者が多忙のため時間が取れず
思うように活動が進まない。(または、活動が途中で終わってしまう。)
設計標準化を繰り返しながらも多くの企業で行っているはずですが、マクロ的な視点で見ると品質向上などの成果に結びついているとはいいがたい状況です。自動車のリコール件数を見てみると、製品の複雑性向上もあると思いますが、リコール件数は増加の一途をたどっています。
■参考URL
http://www.mlit.go.jp/jidosha/carinf/rcl/data_sub/data004.html
設計標準化の視点で見ると、設計手順書の更新が追い付いておらず、新規設計が多いことや、属人的設計が多い為、不具合発生が増えていると推測できます。この状況によって、設計部門としては不具合の対応(業務量)が増え、より忙しくなっていることは容易に想像できます。
◼︎設計者は時間が無い?
設計標準化や設計領域の改革を進める上で設計者が忙しく対応できないと言った声もよく聞かれます。
マンパワーグループの人材不足調査結果によると最も不足している業種はエンジニアと出ています。
■参考URL
https://www.manpowergroup.jp/company/r_center/pdf/2018_Talent_Shortage_Survey_JPSummary.pdf
また、周知の事実ですが人口推移の統計によると、日本における労働人口の減少は今後も続く一方です。ベテラン層の退職、新人の確保の難しさは続きます。
労働人口のトレンドから考えると、今がもっとも忙しくないと言うことができ、AIが普及し業務に浸透するまでの間、多忙である状況は変わらないでしょう。
■参考URL
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/shakaihoshou/dl/08.pdf
加えて、ユーザの価値観・ニーズの多様化、マスカスタマイゼーションの流れなど
設計への要求は増え続けます。その様な状況にある日本の製造業においては
設計の効率化や技術伝承が求められる事は必須です。
◼︎設計部門の負のサイクルからの脱却
多くの設計部門で起きていることをまとめると下図の負の循環があるといえます。
それは、
- ①読み物ではなく、日々の設計ツールに落とし込まれたもの
- ②新人だけでなくベテラン設計者も使うもの
- ③設計の実績を踏まえて日々更新され最新化されたもの
これらの条件を満たしたものであるべきです。
ECM/MDにおける設計手順書の整備は、この点を考慮して整備を進めます。
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