機能ブロック図の作成方法
2019/01/30
本コラムでは、2018/10/22(月)に第6回定期講演会で講演しました「機能ブロック図の作成方法」について改めてご紹介いたします。
機能ブロック図とは、部品間の位置や関係性を明らかにし、エネルギー/物質/信号の流れを矢印で示した図になります。これは一般的に製品の企画や構想設計段階で、設計者が思考していることを一定のルールで図示化した資料になります。
機能ブロック図の目的として、以下3点が挙げられます。
①設計者間の共通言語になり関係者間の認識齟齬の防止
②上記①による手戻り削減
③部品間のインターフェースの整理によるモジュール化促進
本コラムでは、この機能ブロック図の具体的な作成方法についてご紹介いたします。
機能ブロック図の描き方は機能をBoxで記述し、エネルギー/物質/信号の流れを矢印で結びます。
書くときの注意事項が6つあり、
① 1つの機能を1つのブロックで記述します。
② 機能ブロック図はメカ系の機能部品に徹して記述します。
(制御装置等は電機系統図に記述)
③ 見やすさを重要視し、Boxの大きさや線種を統一します。
(サイズが大きい部品のBoxを大きく記述することはしない)
④ 固有の製品名ではなく、機能部位名で記述します。
⑤ 大きさの調整や階層構造化をシート分けできるExcelで作成します。
⑥ 機能の位置関係は理解しやすいよう実体に合わせて記述します。
機能ブロック図は製品システムに関わる機能部品を全てを記述します。ここでの機能部品の定義は、エネルギーを変換する部品に限定します。例えば、装置を覆うカバーや締結するためのボルト類は機能ブロック図に記述しません。段階的な詳細化は設計機能単位で行います。まず第一階層として、トップアセンブリとその配下の機能部品(サブアセンブリまたは部品)で関係性を明確化します。その後、第二階層としてサブアセンブリ配下の機能部品の関係性を明確化します。このときに階層毎でExcelのシートを分けておくと、第三者が見たときに理解しやすく、メンテナンス性も向上します。
(階層構造の考え方は、機能モデリング手法であるIDEFと同じです)
特定の製品だけでなく、構造的には同時に存在しえないような方式違いの機能も包含して描くことが重要です。例えば、工作機械ではストロークの大小や高精度/高速加工用のオプション部品、主軸のサイズによっても製品シリーズが異なるケースがあります。それらの機能部品を包含して機能ブロック図で記述することで製品シリーズを跨いだ部品モジュール化が検討できます。個別の機能ブロック図を作成する際には製品システム構成から決定される必要機能のみを抽出します。
機能ブロック図から部品のモジュール化を進めるためには、機能ブロック図で機能部品間のインターフェースであるエネルギー/物質/信号の流れを明確化することが効果的です。
本コラムを参考に設計手順の形式知化の一環として機能ブロック図を作成してみてください。
■モジュラーデザイン研究会メールマガジン
モジュラーデザイン研究会メールマガジンではコラム・セミナー情報などをご紹介して参ります。
また、ご登録いただくと講義・講演資料・お役立ち資料のダウンロードをご利用いただけます。