顧客ニーズ対応と納品LT短縮を同時実現するコンフィグレーターとMD活用法
2019/08/15
「日経ものづくり2019年1月号」にも特集されているように、マスプロダクション(大量生産)とカスタマイゼーション(個別設計・生産)を高い次元で融合する「マスカスタマイゼーション」に取り組む企業が増えてきています。
マスカスタマイゼーションの対応には、生産形態の変化が求められます。ETO(受注設計生産)では受注後都度設計するため顧客ニーズに応えやすい反面、納品までのリードタイムが長くなり顧客や市場ニーズも変わり、かつ都度設計のため設計工数の増加や部品種類数増加につながってしまいます。一方、MTS(見込生産)では注文から納品までのリードタイムは短いが、在庫リスクが増加し多様な顧客ニーズに応えることが困難になりやすいです。それらを解決するために、CTO(受注仕様組立:Configure to Order)というDell社のパソコン販売に代表されるような、組み合わせ可能な部品に対して、顧客仕様に合わせた部品を受注後に組立てて納品することで、顧客ニーズにも応えつつリードタイムを短縮する方式が求められています。ここで求められるのがコンフィグレーターとモジュラーデザインです。
■コンフィグレーターとモジュラーデザイン
コンフィグレーターとは、複雑な組み合わせ要件を意識せずとも、矛盾なく仕様項目が選択でき、選択結果をロジックに従い展開することで部品構成や価格等の算出をサポートするものです。そのためには、モジュラーデザインにより様々な部品を組み合わせ可能にし、そのための仕様を整備することが求められます。 コンフィグレーター自体は年率25%の成長が見込まれており、マスカスタマイゼーション対応のために活用する企業が増えていることが伺えます。
■モジュラーデザインの取組み
上記コンフィグレーターを活用するため、モジュラーデザインの手法の1つである製品モデル構築があります。製品モデルとは、ある製品群における全ての仕様を顧客、製品企画、システム設計、部品設計、生産設計の各視点から最小公倍数的に整理・標準化し展開したものです。この展開結果をコンフィグレーターで効率的に選択できるようにすることとなります。■総括
マスカスタマイゼーション対応を支えるデジタル技術の進化として、日経ものづくりではアディティブマニュファクチャリング(AM)やジェネレーティブデザイン(GD)が例に挙げられています。 AM:付加製造。積層造形法とも呼ばれ、3DCADデータ等をもとにした3Dプリンターによる造形手法 GD:人手によらずコンピュータが自己生成的にデザインを生み出す技術。設計目標とともに機能、空間条件、材料、製造方法、コストの制約などのパラメーターをジェネレーティブ デザインソフトウェアに入力することで可能性のあるソリューションをすべて見つけ出し、設計案をすばやく生成。テストを行い、プロセスを反復しながら、どの設計案が成功し、どの設計案が失敗するかを学習する(Autodesk社HPより引用) しかし、AMやGDは個人的には発展途上のソリューションであり、特に量産製品に対して即座に活用するにはまだまだ超えるべき壁が多い印象です。一方、コンフィグレーターやモジュラーデザインはある程度地に足ついたソリューションになりつつあり、目前で対応を迫られるマスカスタマイゼーションに即効性があると考えます。但しどちらもやはり壁はあり、特にすり合わせ型の製品に特化している企業では、顧客仕様や設計仕様が個別に散在しているため、顧客仕様と設計仕様の整理・紐づけが最初の高い壁になります。ECM/MD研究会でも、顧客仕様と設計仕様の整理・紐づけについて手順や手法の体系化を深堀・更新しているので、課題意識をお持ちの方はお問合せフォームよりご連絡頂ければ幸いです。
これらの成果物は当研究会のコラムや2019年10月28日(月)に行われる第7回定期講演会でも具体的な事例を交えて紹介していくので、興味のある方はぜひご確認ください。
※10月の定期講演会の詳細につきましては、後日メルマガや当研究会HPでご連絡いたします。
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