モジュラーデザイン(MD)方法論による機能ブロック図の位置づけ
2019/07/04
以前のコラム「機能ブロック図の作成方法」で機能ブロック図について取り上げたところ、クライアント先やセミナーで、「機能ブロック図はMBD(Model Based Development)などのモデルベースの考え方の一つとして有効に思えるが、いまいち使用するタイミングがわからない」といった声が多く寄せられています。そこで本コラムでは、MD方法論における各種成果物である製品システム構成や設計部品構成などとの機能ブロック図の関係について紹介します。
おさらいですが、機能ブロック図は機能部品間の位置関係を明らかにし、エネルギー/物質/信号の流れを矢印で示した図であり、一般的に製品の企画や構想設計段階で設計者が思考していることを一定のルールで図示化した資料です。特に複数の機能が同時に動作する複雑な製品は、製品の構造も複雑になりがちであり、機能ブロック図の作成が非常に有効です。
※機能ブロック図の作成方法は、図1や過去コラム「機能ブロック図の作成方法」をご参照ください
機能ブロック図の効果は、機能ブロック図を単体で作成した場合にでも
- 構想設計における設計者間の共通言語になり、関係者間の合意性向上、手戻り削減
- 製品の機能の働きを抽象化/一般化して新しい方式、機構、構造のアイデアを創出
- 機能部品間のインターフェース整理によるモジュール化の推進
はじめに市場要求(VOC)は、各種アンケートや面談式インタビュー、クレームなどの情報を基に要求仕様が整理され、新製品開発や既存機の改修時のアイデアとして利用されます。次にユーザーの要求仕様は社内の製品仕様に紐づけられ、MD式ベンチマークを用いて競合との分析を行われます。最後に採用された製品仕様や機能を実現するための方式を製品システム構成から検討し、機能ブロック図や設計部品構成を介して、部品の組み合わせを決定します。
MD方法論では、製品システム構成や機能ブロック図、設計部品構成は特定の製品だけでなく、構造的には同時に存在しえないような方式違いの機能も包含して情報(仕様や機能)を整理することが重要です。個別の機能ブロック図や部品構成を決定する際には製品システム構成から決定される情報(必要な仕様や機能)のみを抽出します。これにより、機能ブロック図は方式から部品に変換する際に視覚的に部品の関係性を理解するための重要な設計成果物であることがわかります。
MD方法論は故 日野三十四氏が確立し当研究会でも講演会やセミナーを通して説明していますが、まだまだ抽象的な説明が多くセミナーの受講者が理解し、自社に持ち帰って実践することに課題が多いようです。そこで当研究会では、部品点数の少ない具体的な製品を基にMD方法論を使用した各種成果物(ドキュメント)の作成を行っています。
これらの成果物は当研究会のコラムや2019年10月28日(月)に行われる第7回定期講演会でも具体的な事例を交えて紹介していくので、興味のある方はぜひご確認ください。
※10月の定期講演会は後日、メルマガや当研究会HPでご連絡いたします。
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