自転車における「製品システム構成」簡易事例
2022/04/13
本コラムでは製品システム構成の認識を深めるため、研究会の自主研究として自転車を題材にMD手法を実際に作成し、その結果から把握した製品システム構成作成における具体的手順と留意点を紹介します。
はじめに製品システム構成とは、世の中に存在するシステムの中で自社が将来的に採用する可能性がある製品システムを体系的に展開した構成になります。ここでの製品システムは、製品機能を実現するための製品の方式、機構、構造のことであり、製品仕様から設計部品への技術的・論理的な橋渡しの役割を担います。通常の製品開発では製品システムの存在を明確に意識することはありませんが、無意識のうちに製品システムを決定した上で仕事を進めていることが多いと思います。製品仕様を実現するための製品システムを決定することによってはじめて設計部品を決定できるのであり、製品仕様→製品システム→設計部品と展開することによって製品開発プロセスは論理的に展開されます。以下の図1に自転車の主な部品名称、図2に自転車の製品システム構成例を示します。
製品システム構成は対象製品ごとに異なるので、この例を基に対象製品ごとに、またメカ部分単位とエレキ部分単位で製品システム構成、定義、コードを定め、マスター構成を作成します。製品システムのマスター構成で管理すべき情報は、標準機能ブロック図、標準レイアウト図、標準配管・配線図などの標準システム図になります。機能ブロック図とは、機能を示すボックスと機能から出てくるエネルギ、物質、信号の流れを示す矢印線で構成されたフローチャートを指します。レイアウト図とは、機能ブロック図をハードウェアとして実現する部品の相対的な位置関係を、部品寸法やレイアウト寸法などが入っていない状態で示した定性的な部品配置図を指します。配管・配線図とは、機能ブロック図の矢印線の部分に重点を置いて具体的な部品形状に表した図を指します。これらを製品システム構成の必要な部分に対して、機能ブロック図やレイアウト図、配管・配線図の管理No.を付与して管理情報として登録します。
ここからは自転車を題材に製品システム構成の作成手順を5ステップで説明します。なお本内容は当研究会の自主研究結果であり、実際の設計観点とは異なる場合があるのでご留意ください。
1.思いつく方式違いを列挙する(自社採用方式だけでなく、競合他社の採用方式も記述する)
2.左側から順にコアとなる方式順に並べ替える
3.左から組合せ順に全パターンを列挙する(上から整理する際は右から順に並べると作り易い)
4.組合せとして成立しない行を削除する
5.定義と管理コード、管理情報を記述する(他社が採用している型番情報なども記述する)
改めて製品システム構成は、「製品機能を実現するためシステム(方式、機構、構造など)を展開した構成であり、商品企画段階や構想設計段階で自社及び競合他社の製品システムを確認、比較しながら新たな技術開発を行う際には必要不可欠な手法です。製品システムの詳しい説明は、以下の書籍(MD教本)にて詳しく解説しているので、是非ご確認ください。
製品システム構成の詳細解説掲載ページ
- ・実践 モジュラーデザイン改訂版(通称:青本)P63~P69
- ・エンジニアリング・チェーン・マネジメント(通称:ECM本)P51~P53
当研究会では、引き続きモジュラーデザインの手法をより分かり易く普及させるためのコラム配信やセミナー開催していきます。新しい試みとして、以下のWeb講演会を企画しています。
第2回 インテグラルからモジュラー型への手順とMD手法のポイント
2022年4月18日(月) 17:00-18:20 @ Zoom講演 (無料)- ・製品アーキテクチャーをモジュラー型に変換する
- ・MD簡易事例(自転車)
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