モジュラーデザイン実行手順簡易版_第二回:製品モデル確立(全六回)
2022/04/30
本コラムの位置づけ
モジュラーデザインは非常に有用であり興味あるものの、実行手順が複雑で分かり難くそのため着手に踏み切れないという声を多く聞きます。そのため本コラムではモジュラーデザイン実行手順を簡易版として6回に分けてお伝えします。ポイントのみ分かりやすく可能な限り平易な言葉で表現しますが、あくまでもイメージの把握のためとなるので本コラムで紹介する簡易版だけでは実際の実行には情報不十分だとご理解下さい。まずはモジュラーデザインの全体感のイメージを把握していただき、より深く理解するきっかけとなることを目的としています。本コラムがモジュラーデザインの広い普及に貢献できれば幸いです。コラム構成(全六回配信予定)
- 第一回:第一章「モジュラーデザイン実行手順全体像」
- 第二回:第二章「製品モデル確立」
- 第三回:第三章「目標設定」
- 第四回:第四章「製品ミックス確立」
- 第五回:第五章「MDベースの設計・製造連携VE」
- 第六回:第六章「設計のモジュール化」
第二章「製品モデル確立」
製品モデル確立の目的前回コラム「第一回:第一章「モジュラーデザイン実行手順全体像」」に載せたモジュラーデザイン実行手順の活動全体像を図1に示します。今回の説明範囲である「製品モデルの確立」は活動項目の1番目にあたります。製品モデルはモジュラーデザイン活動の初期に作成しますが、その主な目的は以下3点となります。
- ・モジュール化する部位の認識が人によって変わらないように、モジュール化する単位を標準化する
- ・モジュール化は、製品仕様モジュール化から部品仕様モジュール化に展開するので、製品と部品の関係を明確化する
- ・モジュール化活動をした成果となる技術情報・モジュール化部品を組織的に管理する
製品モデルとは、一つの機能製品ですべての仕様を、顧客/製品企画/システム設計/部品設計/生産設計の視点から整理・標準化したものです。どんな製品を作るかを規定した「商品仕様構成」と、どのようにして作るかを規定した「製品技術構成」から構成されます。以下、商品仕様構成と製品技術構成の作成方法をご紹介します。
商品仕様構成
「商品仕様構成」は、市場要求分類と製品仕様分類の2つの情報から構成します。
市場要求分類
市場要求分類を作成する主なステップとポイントは以下となります。
- 1. 市場要求を1次~4次以上にブレイクダウンして分類する(分類方法は製品による)
- 2. 最終項目にはコード番号を付与し、他項目と区別できるようにする
- 3. 各項目に対し、What(要望項目)When(タイミング)Where(場所)How(要望内容)Why(理由)の管理項目を設け、市場要求のデータベースとする
- ・受注生産であっても、市場要求とは顧客会社からの発注仕様書ではなくエンドユーザーの声となる
- ・How(要望内容)は、どの程度を要望するのか、要望の変動許容幅はどの程度かを調査すること
製品仕様分類
製品仕様分類を作成する主なステップとポイントは以下となります。
- 1. 1~2次までは市場要求分類と同じとなる(製品により次数の差異あり)
- 2. 3次以降において、市場要求を技術的な製品仕様表現に置き換える
- 3. 各項目に対し、コード番号、単位、標準値、変動許容誤差を設定する
- ・製品仕様分類は、製品の試験・評価・検査項目と同様なので、社内情報を整理することで効率的に作成が可能
製品技術構成
「製品技術構成」は、製品機能構成、製品システム構成、設計部品構成、生産部品構成の4つの情報から構成します。
製品機能構成
製品機能構成を作成する主なステップとポイントは以下となります。
- 1. 一つの機能製品単位で製品機能構成を作成し標準化する
- 2. 機能とは、「~を~する」という主語と述語の表現で展開する
- ・製品仕様構成と製品システム構成が連接するため、間にある製品機能構成は製品モデルの傍流という位置づけで作成する
製品システム構成
製品システム構成を作成する主なステップとポイントは以下となります。
- 1. 1~2次までは市場要求分類と同じとなる(製品により次数の差異あり)
- 2. 3次以降において、市場要求を技術的な製品仕様表現に置き換える
- 3. 各項目に対し、コード番号、単位、標準値、変動許容誤差を設定する
- ・製品仕様分類は、製品の試験・評価・検査項目と同様なので、社内情報を整理することで効率的に作成が可能
設計部品構成
設計部品構成を作成する主なステップは以下となります。
- 1. メカ、エレキ、ソフトの順に並べて構成する
- 2. 方式、機構、構造の違いを超えて製品を構成するすべての部品を末端まで展開する
- 3. 各部品構成に機能定義を行い、かつ設計部品コードを付与する
生産部品構成
生産部品構成の整理方法は、設計部品構成と類似のため割愛します。
今回は第二章として、モジュラーデザインの初期活動である製品モデルの確立について紹介しました。次回以降で製品モデル確立に続く各フェーズや各活動項目の詳細を紹介したいと思います。
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