モジュラーデザイン実行手順簡易版_第一回:モジュラーデザイン実行手順全体像(全六回)

2021/09/30

 

本コラムの位置づけ

モジュラーデザインは非常に有用であり興味あるものの、実行手順が複雑で分かり難くそのため着手に踏み切れないという声を多く聞きます。そのため本コラムではモジュラーデザイン実行手順を簡易版として6回に分けてお伝えします。ポイントのみ分かりやすく可能な限り平易な言葉で表現しますが、あくまでもイメージの把握のためとなるので本コラムで紹介する簡易版だけでは実際の実行には情報不十分だとご理解下さい。まずはモジュラーデザインの全体感のイメージを把握していただき、より深く理解するきっかけとなることを目的としています。本コラムがモジュラーデザインの広い普及に貢献できれば幸いです。

コラム構成(全六回配信予定)

  1. 第一回:第一章「モジュラーデザイン実行手順全体像」
  2. 第二回:第二章「製品モデル確立」
  3. 第三回:第三章「目標設定」
  4. 第四回:第四章「製品ミックス確立」
  5. 第五回:第五章「MDベースの設計・製造連携VE」
  6. 第六回:第六章「設計のモジュール化」


第一章「モジュラーデザイン実行手順全体像」

モジュラーデザイン実行手順_活動全体像 図1にモジュラーデザイン実行手順の活動全体像を示します。活動は大きく3つのフェーズに分けられ「現状分析・目標設定」「新規製品ラインアップ検討」「設計仕様・手順整備」としています。活動項目は5つに分類され「製品モデルの確立」「目標設定」「製品ミックス確立」「MDベースの設計・製造連携VE」「設計のモジュール化」となります。またそれぞれの活動で作成すべきアウトプットを下段に示しています。以下、それぞれのフェーズの概略説明を記載します。

図1:モジュラーデザイン実行手順の活動全体像|エンジニアリングチェーンマネジメント/モジュラーデザイン研究会[ECM/MDI・PLM]

図1:モジュラーデザイン実行手順の活動全体像


 『現状分析・目標設定』フェーズ
活動概要
既存製品をベースに仕様と構造の分析を行うため製品モデルを作成する。製品モデルにより、仕様情報や部品情報を体系的に整理し、モジュール化に必要な情報を組織的に管理できるようにする。かつ、必要に応じベンチマーク等を実施しモジュール化の目標設定と効果概算試算、実行計画全体像を策定する。

『新規製品ラインアップ検討』フェーズ
活動概要
技術革新をベースにした商品企画を実施し10年先を見据えた新規製品ラインアップを策定する。ラインアップを定義する主要な製品仕様にはモジュール数が適用される。製品レイアウトに影響を与えるプラットフォームや主要部品もこの時点でモジュール化(仕様・諸元へのモジュール数適用)を行う。また、主要部品は様々な製品ラインアップに適用できるよう標準的なレイアウトを定義し、部品の材料的・構造的な仕様を定めた部品の基本構造である標準モデルを作成しておく。

『設計仕様・手順整備』フェーズ
活動概要
定義した製品ラインアップやプラットフォームに基づき、より詳細なシステム・部品の設計諸元や仕様のモジュール化を行う。設計フローや設計手順書や、部品の諸元や仕様に設定してよいモジュール数を定義したモジュールテーブルを作成する。これにより誰が設計してもモジュール化にのっとった設計ができるようになる。


モジュラーデザイン実行手順_活動スケジュール

図2にモジュラーデザイン実行における標準的なスケジュールを示します。あくまでも標準的なスケジュールであるため、対象製品や対象範囲、また導入会社のモジュール化進捗状況、推進体制等により可変することとなります。よって本スケジュール期間は参考値としていただきたいですが、1つ言えるのは少なくとも年単位での活動が求められ、数か月の活動で成果が得られることは非常に困難であるということです。

図2:モジュラーデザイン実行手順スケジュール/モジュラーデザイン研究会[ECM/MDI・PLM]

図2:モジュラーデザイン実行手順スケジュール


まずは第一章として、モジュラーデザインの実行手順全体像を紹介しました。
次回以降で各フェーズや各活動項目の詳細を紹介したいと思います。



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