モジュラーデザイン実行手順簡易版_第五回:MDベースの設計・製造連携(全六回)

2025/1/31

 

本コラムの位置づけ

モジュラーデザインは非常に有用であり興味あるものの、実行手順が複雑で分かり難くそのため着手に踏み切れないという声を多く聞きます。そのため本コラムではモジュラーデザイン実行手順を簡易版として6回に分けてお伝えします。ポイントのみ分かりやすく可能な限り平易な言葉で表現しますが、あくまでもイメージの把握のためとなるので本コラムで紹介する簡易版だけでは実際の実行には情報不十分だとご理解下さい。まずはモジュラーデザインの全体感のイメージを把握していただき、より深く理解するきっかけとなることを目的としています。本コラムがモジュラーデザインの広い普及に貢献できれば幸いです。

コラム構成(全六回配信予定)

  1. 第一回:第一章「モジュラーデザイン実行手順全体像」
  2. 第二回:第二章「製品モデル確立」
  3. 第三回:第三章「目標設定」
  4. 第四回:第四章「製品ミックス確立」
  5. 第五回:第五章「MDベースの設計・製造連携VE」
  6. 第六回:第六章「設計のモジュール化」

 

第五章「MDベースの設計・製造連携VE」

モジュラーデザイン実行手順の活動全体像を図1に示します。

図1:モジュラーデザイン実行手順の活動全体像|エンジニアリングチェーンマネジメント/モジュラーデザイン研究会[ECM/MDI・PLM]

図1:モジュラーデザイン実行手順の活動全体像


MDベースの設計・製造連携VEの概要
今回の説明範囲である「MDベースの設計・製造連携VEの概要」は活動項目の4番目にあたります。
その主なアウトプットは以下となります。

  • 標準モデル


以降、標準モデル作成の実行方法についてそれぞれ紹介します。

標準モデル

「標準モデル」作成の目的と主なステップとポイントは以下となります。

目的
  • 製品の基本構造を規定した標準モデルを作成、新規設計時には標準モデルから該当部分を抽出する「標準設計」へ
  • VEで部品を技術革新してからモジュール化することで、競争力ある部品モジュール化となり継続利用できる
  • 品をモジュール化するときは技術革新を反映させ、技術革新トレンドに応じて定期的に更新することが大事

概要

現在の技術レベルのまま標準化すると技術革新を阻害してしまいます。標準は世の中の技術をベンチマーキングする基準であり、技術的に陳腐化する前に積極的に変えよというメッセージとなるものです。つまり標準化、モジュール化は技術革新を促進するものなのです。 基本的なVE手法であるブレーンストーミング、KJ法、NM法等を活用し、機能VE・部品点数削減VE・レイアウトVEと対象を絞り進めていきます。また、製品VEに基づき、製造設備を長期的な視点から自動化など製造革新も検討します。 検討した標準モデルを、STEP1の製品モデルに反映させることで、モジュール化を織り込んだ製品モデルとなり、次STEPの設計のモジュール化に繋がります。



活動ステップ

製品VEでは、機能VE、部品点数削減VE、レイアウトVEを行う。

機能VE
  1. 1. VE手順(①機能定義②機能評価③価値向上のアイデア発想)の③が主目的となる
  2. 2. 製品技術構成の各段階である「製品機能」「製品システム」「設計部品」ごとに実施する

Point
①②や製品技術構成や、現状分析(前章)で作成した製品モデルを活用する

レイアウトVE
  1. 1. レイアウトが最もコンパクトになる案を考え、そこに連結部品が最短となるよう微修正する
  2. 2. 上記レイアウト案に、各分野エキスパートの知見から最適となるレイアウト案を作成する

部品点数削減VE
  1. 1. 「機能統合」「機能複合」「機能兼用」「機能代替」の切口で検討することで部品点数削減のアイデアが出やすくなる

標準モデルの確立
  1. 1. 上記VEによって得られた成果をもとに、一括設計の基準となる標準モデルを定義する
  2. 2. 標準モデルとは、部品の材料的・構造的な仕様を定めた部品の基本構造である



図2:標準モデルの例(出典:『日本機械学会誌』、1988年4月号)|エンジニアリングチェーンマネジメント/モジュラーデザイン研究会[ECM/MDI・PLM]

図2:標準モデルの例(出典:『日本機械学会誌』 1988年4月号)


今回は第五章として、モジュラーデザインで標準モデルを作成するための設計・製造連携VEについて紹介しました。次回は設計のモジュール化について紹介したいと思います。



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