競合に遅れるな!モジュラーデザイン事例を応用せよ
2024/10/31
製造業における生産モデルは、受注設計生産(ETO:Engineering to Order)や見込み生産(MTS:Make to Stock)など、企業ごとに大きく異なります。また各企業においてモジュラーデザインの導入状況も、検討段階の企業から活動初期、さらには導入済みまでさまざまです。来月(24年11月7日)の講演会では、3社の事例紹介を通じて、各企業がどのようにモジュラーデザインに向き合っているのかを各社のプロジェクトリーダーよりご紹介頂きます。
アンケートから事例を聞きたいという声は多いものの、「自社や自分の状況にピッタリ当てはまる事例がない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、それは当たり前です。もし完全に一致する事例があるとすれば、それはすでに競合が一歩先を進んでいるだけのことです。重要なのは、今回紹介する事例からヒントを得て、それを自社や自身にどのように応用するかという点です。
前提1:製造業の生産モデル
製造業における生産モデルは、受注設計生産(ETO)、コンフィグレーション生産(CTO)、見込み生産(MTS)といった形で分類され、製品の大量生産や少量生産など多種多様です。モジュラーデザイン導入を志向されている方であれば、目指す姿としてCTOを考えられていると思います。自社がどの生産モデルに該当するのか、その生産モデルにモジュラーデザイン適用する場合の留意点は何か、事例紹介企業との類似・相違点は何かを照らし合わせてみてください。 また、各社はモジュラーデザイン導入の状況や課題も様々です。導入準備中であったり、一部具体的な検討を進めていたりと具体的な課題や検討状況がありますので、ヒントが得られるでしょう。
前提2:開発設計部門と生産技術部門の役割
開発設計部門のアウトプットは、上位レベルの製品→ユニット→部品を対象に、性能の範囲を決め一定の規則性を持たせる“レンジ化”、準備されたユニットの組合せで新しい製品を開発する“モジュール化”、材料・部品の種類を統一・共通化する“共通化”において、部品の種類を少なくすることです。一方、生産技術部のアウトプットは、開発設計部門の少なくなった部品種類を受け、加工から見た類似性を加味し、さらに種類を集約しロット(数量/単位)を増やし、少量のものを多量にして生産することで量産効果を高めていくことです。手順は、設備中心の加工→人中心の組立を対象に、類似を集めマスプロダクションで対応する“類似化”、変化を後工程で対応する“後変化”、個々の顧客仕様に迅速・柔軟に対応する“カスタム化”の順に行っていきます。事例紹介その1
本コラムで紹介するのは、見込み生産(MTS)を採用している企業の事例です。この企業は商品ラインアップとバリエーションが非常に豊富で、そのため部品点数が多く、管理が複雑化している状況です。さらに、製品のライフサイクルが短いため、残材リスクが高く、在庫管理の効率化も喫緊の課題となっています。経営状況も厳しい中、この企業は抜本的な改革に着手し、エンジニアリングチェーンにはモジュラーデザイン導入を目指し、設計の効率化と標準化を目指しています。また、製造現場においては、DFM(製造設計)やIE/VE(工程の効率化と価値工学)を活用し、バリューチェーン全体の最適化を進めています。 現在は全社を巻き込んだ改革活動の準備段階にあり、各部署が一丸となって取り組むプロジェクトが始動するフェーズです。どのような観点で検討を進め、どのように社内を巻き込んでいくのか、その詳細は、ぜひ来月の講演会で直接ご確認ください。実際の商品やプロジェクトリーダーの声を通じて、企業の変革への取り組みをより深く知ることができます。事例紹介その2(他2社)
さらに、他2社の事例も講演して頂きます。1社目は、個別受注少量生産(ETO)の企業です。この企業では、特定の製品構造にモジュラーデザインを試行導入すべく、機能ブロックから設計手順書の作成を進めています。これまでは、完全個別に設計していたため部品共通化進まず、部品点数が増えすぎ競争力低下につながっている課題を抱えています。設計の効率化と標準化により、設計者のリソースシフトを目指しています。 もう1社は、同じく受注生産型(ETO)ですが、大量生産を行う企業です。以前、モジュラーデザインの導入を進めていたものの、経営方針や商品構成の大幅な変更により、一旦その計画は見直されました。現在は経営状況に伴い、設計の効率化やコスト削減に注力しています。今回の講演会では、その設計効率化に焦点を当てた事例が紹介されます。 この3社の異なる生産モデルや導入状況を通じて、モジュラーデザインがどのように各社の課題を解決するのか、ぜひ講演会で直接お聞きください。自社に最適なアプローチを見つけるヒントが得られるはずです。
まとめ
モジュラーデザインの導入は、製造業におけるさまざまな生産モデルや生産形態に応じて、その効果を発揮します。今回ご紹介した3社は、それぞれ異なる生産モデル(ETO、MTS)と異なる導入段階にありながら、共通の課題である設計効率化やコスト削減に取り組んでいます。少量生産、あるいは大量生産のいずれにも対応できるモジュラーデザインに対してどのような点に期待しているのか、その詳細を講演会でぜひお確かめください。また講演会後の懇親会(オンサイト)では、事例発表企業を囲んでの質疑や討議も行う予定です。第10回定期講演会のご案内(24年11月7日開催)
ECM/MD-I 第10回定期講演会 詳細
また今回の事例紹介にあたっては、事前にJMN(Japan Manufacturing Network)を通じて事例共有と討議を行いました。7月の開催は準会員のメンバーで満席となり公募しませんでしたが、今後も継続的に開催予定です。準会員もJMN参加も検討頂ければ幸いです。JMNではクローズドな場で、事例共有と討議を行っていますので、具体的なアクションプランや自社での応用を考えるための絶好の場となるでしょう。
講演会やJMNにご参加いただき、自社の状況に合った最適な解決策を見つけ、次のステップに進むためのヒントをぜひ掴んでください。積極的なご参加をお待ちしております。
関連コラム
■モジュラーデザイン研究会メールマガジン
モジュラーデザイン研究会メールマガジンではコラム・セミナー情報などをご紹介して参ります。
また、ご登録いただくと講義・講演資料・お役立ち資料のダウンロードをご利用いただけます。