システムアーキテクチャ考え方から見た機能ブロック図と設計手順書の必要性
2025/12/31
先月の11月6日に開催されたモジュラーデザイン研究会の第11回講演会では、オンライン含め100名近い方々にご参加いただき、誠にありがとうございました。今回の講演会もたくさんの事例紹介をいただきましたが、私が特に参考になったのが、後町様に講演いただいた基調講演「システムズエンジニアリングで製品開発プロセスを革新」です。その講演の中でシステムのアーキテクチャを表現する3つの視点という説明が、ECM MD手法の一つである機能ブロック図と設計手順書と関係づけできそうだなと考え、本コラムで整理してみたいと思います。
では、まずECM MD手法の機能ブロック図のおさらいとなります。以前のコラムでも機能ブロック図についてご説明しましたが、改めて機能ブロック図の定義から説明します。機能ブロック図の定義は、製品システムがどのような機能の流れになっているのかを明らかにすることを目的として、エネルギー・物質・信号を変換する機能を箱で示し、機能間のエネルギー・物質・信号の流れを矢印で示した図です。 目的は、その製品をどのような構成で成立させるのかを考える為のものです。機能系統図と図面の間の位置づけすることができ、機能の働きを一般化した方式で記述できます。 図1に機能ブロック図の工作機械の例を示します。
機能ブロック図を作ることで、設計者間の共通言語になり、関係者間の認識齟齬の防止や手戻り削減、部品間のインターフェース整理によるモジュール化を促進することが期待できます。書き方の注意として、特定の製品だけでなく、構造的には同時に存在しえないような方式違いの機能も包含して描くことが重要です。例えば、工作機械のマシニングセンタでは、切削方向が縦方向か横方向によりユニット構造が大きく異なります。また、ストロークの大小や高精度/高速加工用のオプション部品、主軸のサイズによっても製品シリーズが異なるケースがあります。それらの機能部品を包含して機能ブロック図で記述することで製品シリーズを跨いだ部品モジュール化が検討できます。個別の機能ブロック図を作成する際には製品システム構成から決定される必要機能のみを抽出します。 機能ブロック図から部品のモジュール化を進めるためには、機能ブロック図で機能部品間のインターフェースであるエネルギー/物質/信号の流れを明確化することが効果的です。
このように効果が大きい機能ブロック図ですが、MDを取り組まれている企業様でもしっかりとした機能ブロック図を作られているケースは稀です。機能ブロック図をもっと活用いただくための考え方はないかなと思案していたタイミングで、先日の定期講演会での後町様の講演を見てハッと気づきました。講演では、システムの論理アーキテクチャ定義について触れられ、アーキテクチャとはシステムの要求を実現するための内部の構造、動作、及び状態で表現されると説明されていました。図2に講演時にも投影されたシステムのアーキテクチャを表現するための3つの視点を示します。
上記の構造にあたる箇所がECM MD手法の機能ブロック図に該当します。では、ECM MD手法において、システムのアーキテクチャを表す状態や動作を示すにはどうすればいいのでしょうか。状態や動作毎に機能ブロックを起こすとなると大変な労力が必要となります。ECM MD手法では状態や動作はMD式設計手順書で論理的に整理することが求められます。例えば状態であれば、「この部品が回転したときにはXXkgfの力が加わる」といった論理的な設計手順を考える必要があります。動作に関しても、「この部品が動くと、IFを介して連携しているXX部品も連動してXX㎜可動する」といった形で手順書に記載していきます。図3に示すようにMD式設計手順書は寸法や諸元(仕様)レベルまで詳細化し、仕様を決定するためのデザインルール(論理式)を記載していきます。
モジュール化というとどうしても機能部品単位で横並びに整理し、共通化やモジュール化していくことを想像しますが、現実的には難しいです。設計手順書で諸元(仕様)レベルまで詳細化していくことで、仕様単位(ECM MD法ではモジュールテーブル)での共通化やモジュール化の検討が必要であり、設計手順書のレベルまで落とし込む必要になります。
本コラムのまとめは以下となります。
- ・システムアーキテクチャを示す3表現の内、構造は機能ブロック図、状態・動作は設計手順書で表す
- ・機能ブロック図で製品システムがどのような機能の流れになっているのかを明らかにする
- ・設計手順書で諸元(仕様)レベルまで詳細化し、共通化やモジュール化を検討する
【参考】機能ブロック図 過去のコラム
- ・コラム|機能ブロック図作成の目的|
- ・コラム|機能ブロック図の作成方法|
- ・コラム|モジュラーデザイン(MD)方法論による機能ブロック図の位置づけ|
- ・コラム|機能系統図と機能ブロック図 |
- ・コラム|機能ブロック図と品質工学(パラメータ設計)|
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![図1:機能ブロック図の例|エンジニアリングチェーンマネジメント/モジュラーデザイン研究会[ECM/MDI・PLM]](images/20251231-001.png)
![図2:システムのアーキテクチャを表現するための3つの視点|エンジニアリングチェーンマネジメント/モジュラーデザイン研究会[ECM/MDI・PLM]](images/20251231-002.png)
![図3:MD式設計手順書|エンジニアリングチェーンマネジメント/モジュラーデザイン研究会[ECM/MDI・PLM]](images/20251231-003.png)



